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第5回鉄道技術展2017

平成29年12月1日、第5回鉄道技術展2017へ行って参りました。

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続き

鉄道技術展は幕張メッセで開催され、車両製造から研究開発まで鉄道に関わる多くの企業が出展する総合展示会です。
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会場内には車体モックアップ、実際に開閉するドア、台車、電光掲示板、券売機など多くの展示物が持ち込まれていました。

新企画として屋外に軌道ステージが初めて設置され、保線分野の実演展示も行われました。

多くのギャラリーを集めていたのが、JR東日本テクノロジー株式会社様の『鉄道事業者向けの教育訓練設備』でした。
これは株式会社音楽館様が製作した実写映像シミュレータを用い、異常時の訓練を運転士・車掌のセットで行うものです。実際の運転士・車掌が迫力のある喚呼をしながらデモンストレーションを行っていました。

日本信号株式会社様の展示スペースには『軽量型ホームドア』が出展されていました。
このホームドアは扉をパイプで構成することで、一般的なホームドアより重量を軽減しホームの補強工事を最小限に抑えられる利点があります。
またドアが面ではなく線で構成されていますので風に強いという特徴もあります。

今回の技術展では、日本信号様の他にも複数の企業でホームドアの展示が行われていました。
ホームドアにはこれまで平面状の扉が用いられてきましたが、車両の扉数を統一しなければならない点、精密な停車位置合わせが必要にある点、ホームドア自体が高価な上に重量物である点など課題が多く、導入のハードルが高いのが現状です。
これを解消すべく、扉の幅を広く取るもの、扉をパイプとするもの、扉の代わりにロープとしてこれを昇降させるものなど様々な種類のホームドアが開発され、実証実験が各地で行われている事が分かりました。
ホームから線路へ転落する事故は古くから発生しています。導入しやすいホームドアの開発が更に進みこれらの事故が減ることを望みます。

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こちらは工事用足場です。組み立て・解体作業を実演しており、やはりこちらも衆目を集めていました。

気になったものの1つに東急テクノシステム株式会社様の『列車運行電力デマンド制御手法』があります。これはJAXA・鉄道総研と協力し、小惑星探査機「はやぶさ」の技術を基にした電力デマンド制御(限られた電力を効率的に使用する制御)を開発し実験している技術との事です。
地震や人身事故などによって列車が一斉停車してから運転再開させる際、各運転士の判断で発車させると変電所の電力容量を超えてしまう為、通常は指令所から運転再開の指示を順次送っています。
この手法では、最遅延列車を優先的に遅延回復するべく電力を割り当て、その他の列車にも電力を割り当てていく制御が行われます。運転士には加速を止めるタイミングが通知されます。
家庭に例えますと、ブレーカが切れる前に電力を多く使う電子レンジやエアコンを切っておくという事です。
このデマンド制御を用いることで発送電設備を簡素にし余剰電力を減らす事にも繋がるとの事です。

同じく東急テクノシステム様の『列車見張員シミュレータ』を体験してみました。
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前後にCG映像が写されるディスプレイがあり、訓練者は線路上を歩く列車見張員役となって通常時から異常時まで様々なシナリオで訓練を行います。
列車が接近して来た時は立ち止まって列車に対して適切な合図を送らなければなりませんが、センサーによって訓練者の動作が判定されており誤った動作を行うとアクシデントになります。シナリオによっては列車に向かって「止まれ、止まれ」と叫んで旗を振りながら走る列車防護を行わなければならず、列車見張員の責務の重さを感じられます。
スピーカの音も手伝って非常にリアルとなっており、実際の線路際に立っているような臨場感・緊張感を覚えました。

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この他にも軌道・保線や案内など多岐に渡る分野の展示を時間一杯見て回りました。
信号以外の分野について広く質問できる機会は少ない為、貴重な経験になりました。
この技術展で得た知識を今後の業務に生かせれば良いと考えています。

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