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令和元年講習会(9月)

令和元年9月6日(金)、特別講師に池太郎様をお招きして講習会が開かれました。


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続き


第1回目は、平成30年7月の西日本豪雨についてです。

平成30年7月はじめ、梅雨前線が日本付近に停滞し、台風7号が北上、日本付近に温かく湿った空気が供給され続け、全国的に広い範囲で豪雨でした。
この中でも72時間の降水量の値が観測史上第1位を記録したのが広島県で、これまで経験したことのない記録的な大雨となりました。

ここから、自衛隊による災害派遣活動、行政などの初動対応の状況、初動対応の課題、また教訓と今後に備えるための提言をお話ししていただきました。

まず、自衛隊による災害派遣活動についてです。
広島県、岡山県、愛媛県に派遣され、人命救助・孤立者救助や給水支援、入浴支援を行いました。
給水支援では、海保巡視艇などで島にも給水支援をしました。
しかし、多くのお年寄りが水を持ち帰ることができない課題が生まれました。
そこで陸上自衛隊と協力し、給水車を使って、家の前で水を汲めるようにしました。

災害発生時に、素早く対応ができないお年寄りや小さなお子さんがいる家庭では、救援がきても即座に対応できない、という不安があると思うので、早めにこのような対策ができるといいと思いました。

続いて入浴支援です。私は入浴支援をしていることを知らなかったので、とても興味深かったです。
どうやって入浴するのかというと、船に設備されているお風呂を使ったり、船の中に入浴場を作ったりしていました。
銭湯の暖簾に似た入り口や、浴室の手すりなど気軽に来れて安心して使用できる空間づくりがなされていました。
また、入浴している間に、洗濯支援も行い、お風呂を出るころに、洗濯物が終わっている仕組みになっていました。
時間をうまく利用し、配慮の行き届いた対応に驚きました。
今回、特に呉市では土石流による被害が大きく、人命救助・行方不明者捜索ではスコップ等で泥をどかしたり、警備犬による捜索が行われました。


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初動対応における課題としては、
・災害対策本部の設置が遅かったこと
・市町によって対応の早さが違うこと
・情報整理が足りず、自衛隊も情報不足なってしまった、
・避難指示の時間の遅さやそれに対する市民の行動
・市民への情報発信がない

などがあげられました。

私が初めて知ったのは、市町によって、対応の早さが違うことです。
過去に同じような規模の災害があった街では、早めの避難指示や、災害マップを普段から作成することで、被害が少なかったそうです。
過去の経験を基に前もって対策ができたのは、よかったと思います。
これを、県全体で情報共有すると、初動対応がもっと変わったと思いました。

情報の整理は災害時に一番重要であり、混雑してしまうところでもあります。
電車が遅延したときもそうですが、いろんな情報が飛び交います。
市町村と県がうまく連携して、どんな情報が欲しいのかリストアップし、必要事項をしっかりまとめられると良いと思まいました。

今後のことも踏まえてのまとめとしては、
・地震への対処に係る概要の理解
・災害対策本部初動タイムラインの策定
・バトルリズムな迅速な確立
・初動対応に係る訓練の実施
・管理職職員の責務

等があげられました。
台風は初動対応ができますが、地震は予測がつかないので、災害対策本部初動タイムラインをしっかりと実行できるようにし、災害が発生した場合には、会議を定例化(バトルリズム)することで、対処方法など議論する場を作ることが適切だそうです。
さらに、災害対策本部会議(勤務時間外)開催までの訓練を行うことも必要になります。

今回の西日本豪雨では、メディアではなかなか知りうることのできないお話が多く、大変勉強になりました。
昨今では、自然災害が多く、初動対応もそうですが、私たち一人一人の意識を変えていくことも必要になってくると思いました。

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