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令和元年講習会(10月)

令和元年10月7日(月)、講師に池様をお招きして講習会が開かれました。

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続き

第2回目の今回は「伝統を継承する人材育成」をテーマに、池様の教育を主管する部隊指揮官の経験から考察された現海自が海軍から継承している3つの伝統、幹部候補生教育において海軍兵学校から「継承」している教育手法、「伝統を継承する人材育成」が心技体として目標とする能力の伸展性の3点を話されました。

まず、現海自が海軍から継承している3つの伝統についてです。
池様が考察された現海自が海軍から継承している3つの伝統として、「シーマンシップ」の涵養、「真の正直」であること、フォロワーシップを伴う「リーダーシップ」をあげられました。これは、それぞれ海の上でどう生き延びるのかを身に着けること、戦いに強く信頼されるために必要なこと、リーダーシップは常にフォロワーシップが影となって伴うことを忘れないことという意味があります。

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次に、幹部候補生教育おいて海軍兵学校から「継承」している教育手法を、映像を交えて説明されました。
まず、短艇とう漕についてです。短艇はで長さ4.3m、重量約10kgのオールを12名で漕ぎます。総短艇という短艇による総員離艦訓練は、事前の連絡なしに行われるため、オールを漕ぐのに息が合わないこともあるそうです。ここで驚いたのが、これを男女関係なしに重さを変更することなく行うことです。これは、総短艇のみならず、他の訓練、競技でも男女で内容を変更することはないそうです。
次に遠泳について、これは約15kmを約8時間かけて泳ぎます。この時お互いを見失わないよう列を作り、ペースが遅れてきた人には、後ろから足を押して、全員が完泳できるようにお互いに助け合います。また泳ぐことが苦手な人も、約15㎞を泳ぎ切れるよう訓練し、、最終的に全員が15㎞を泳ぎ切るそうです。
その他、野外戦闘訓練の様子や、弥山登山の様子を映像で見ましたが、どれもとても厳しい訓練で、自分ではとてもついていけそうにないと思いました。

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そして、「伝統を継承する人材育成」が心技体として目標とする能力の伸展性の3点についてです。
海自が海軍から継承している伝統の一つの「シーマンシップ」の涵養を基盤とし、心技体として目標とする能力は統率力(心)、専門技能(技)、先行判断力(体)です。統率力は短艇や遠泳、野外戦闘訓練などで少しずつ養われ、専門技能は素養教育後から定められた職域スキルの基本教育が開始、先行判断力(危機回避能力)は部隊勤務で急激に向上していくそうです。

最後に「伝統を継承する人材育成」の意義について、普遍的な価値観である伝統は、モラトリアムである「守」において理解され、自らの責任において物事を律する「破」において体得され、自らが創造していく「離」により継承される。この伝統を継承する人材育成は、個人の組織への忠誠心を醸成させ、さらには組織の存在意義(位置付け)であるアイデンティティを確立させる、とまとめられました。

今回、伝統は理解、体得とかなりの時間をかけて継承されてき、途絶えさせていけないものだということが理解できました。また、いま私たちが継承すべき伝統は何なのか考えるいい機会になりました。

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